mRNAワクチンという新しい種類のワクチンについて
こんにちは、先週末の6/27にモデルナの一回目接種を済ませたきたぐにです。基礎疾患持ちなのでひやひやしていたのですが、これで一歩安心に近づきました。
接種を待っている間にいろいろしらべてみました。すると、今回から新しく採用されたmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンというものがあるということを知りました。mRNA?なんだそれ?と思って調べて分かったことを以下に書きとめてみました。
一言でいうと、今までのワクチンはウイルスそのものを弱毒化したり、感染能力を失わせるなどの加工したものを培養して作られ、それを注入することによって体内の免疫がそれに反応して抗体(いわば免疫系が攻撃対象とみなすスイッチ)が作られ、コロナウィルスの侵入を防ぐことを目指すものなのです。
それに対してmRNAワクチンは解読したウィルスの遺伝情報から、ウィルスが細胞に侵入するための「鍵」を生成するためのRNAを合成して作られたものです。鍵だけですので感染能力などは持ちません。それでも異物であることは変わりませんので、免疫系はその「鍵」に対する抗体を作ります。
このワクチンを接種すると、以下のような過程を経て抗体が作られます。
- ワクチン内のmRNAが細胞内に取り込まれて「鍵」が合成されます。合成が終わると用が済んだmRNAは分解されます。
- 合成された「鍵」は外部由来のものですので免疫系によって異物と認識され、抗体が作られます。
- 次にコロナウィルスが侵入してくると、抗体が働き免疫系がウイルスを攻撃してくれます。
これがmRNAワクチンの働きです。
今までのワクチンはウィルスを加工・培養をするための作業や有効性・有害性を確認するための治験(希望者を募って試験を行うこと)に年単位の時間を必要としたのに対し、mRNAワクチンではウィルスの遺伝情報解読やmRNA合成は機械で行うことができるため大幅に時間を短縮することができます。これは変異ウィルスが現れても対応時間が短くなることが期待できることを意味します。
治験についてはいままでなら短縮できなかったのですが、コロナに対する危機感から大規模な財政支援が得られたことが大幅な期間短縮につながりました。そのあたりの事情について詳しくはこちらから。この動きはこれからの対ウィルス戦略にも大きな希望となります。
このパンデミックが始まったころは復活の日のようにはならないにしろ、もっと大きな被害が出るのではないかと恐れていました。ところが、危険性を認識した各国政府の資金支援や保健機関のサポートが得られたことや、1990年ごろから始まったmRNAワクチンの研究が間に合ってワクチンを実用化できたことで、(言い方は悪いかもしれませんが)このウィルスの凶悪さの割には比較的被害を抑えることができるのではないかと思っています。
人類が続く限りウィルスとの戦いは終わらないでしょう。ですが、今回人類は新しい武器であるmRNAワクチンと新しい協力の枠組みを手に入れることができました。これらはこれからの戦いにおいても大きな力となってくれることでしょう。